「日本学術会議」会員の任命をめぐる時系列。次々と出てくるのでメモとして残します。追加修正する可能性は大。
- ★時系列メモ
- [1983年]
- [1984年]
- [2005年]
- 【2015年】
- [2016年]
- [2017年]
- [2018年]
- 【10月12日(月)】
★時系列メモ
[1983年]
・中曽根康弘首相(当時)が「政府が行うのは形式的任命にすぎない。学問の自由独立はあくまで保障される」と答弁。
・参議院文教委員会で内閣官房総務審議官が「推薦されたうちから総理がいい人を選ぶのじゃないかという感じがしますが、形式的に任命行為を行う。実質的なものだというふうには理解しておりません」と答弁。
[1984年]
・会員の選出は投票による公選制だったが、学会などが候補者を推薦し、この推薦に基づいて首相が任命する仕組みに変更。理由は学術研究の細分化や多様化による。
[2005年]
・会員の選出が現会員が推薦する方法に変わる。首相の任命は引き継がれる。
【2015年】
【9月】
・「安保保障関連法」成立
[2016年]
[夏]
・70歳定年により3名の会員補充が必要に。選考委員会が推薦候補を3ポストで2名ずつ官邸に示したところ、2ポストで上位に示していた候補に難色を示した。理由は開示されなかった。結局、3ポストは2017年秋まで欠員になる。
[12月ごろ]
・杉田和博官房副長官が同会議会長に推薦候補を決める前の段階で選考状況を説明するように求められる。選考の最終段階で任命者数より多い110名超の名簿を示すことで合意した。
・大西元会長によると、2016年の補充人事の際も首相官邸から人事案に難色を示された(10/9野党合同ヒアリングで証言)
[2017年]
【3月24日】
・日本学術会議が軍事研究を否定する声明を公表
[6月末]
・110名超の名簿を杉田氏に示し、選考状況を説明
[7月末]
・臨時総会で105名の推薦が決まる。
[10月]
・安倍首相により任命
[2018年]
【5月16日】
・国会議員による法政大学研究者に対する検証や根拠の提示のない非難に対し、法政大学が総長メッセージとして声明を発表。(2020年10月5日付け、総長メッセージより)
【夏】
・定年による1名欠員に向けて、日本学術会議は推薦者の検討を始める
【10月】
・学術会議が総会前に第1候補と第2候補の2名を選定
・官邸が第1候補の選定に難色を示す
・当時の会長である山極寿一氏が候補選出の根拠を説明したいと申し出たが、1年間、拒否され、最終的に補充を見送る
【11月】
・内閣府が同会議から推薦された人を必ずしも任命する義務はない、と確認する文書を内閣府が示し、内閣府法制局が了承する。
・11月13日付の内部文書を公開。タイトルは「日本学術会議法17条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係について」
・科学技術振興機構の渡辺美代子副理事が日本学術会議副会長の在任中(2020年9月まで3年間の任期)は、政府が根拠とする文書を見たことがないとコメント(10/6 NHKニュース)
・内閣府の福井仁史・日本学術会議事務局長が、政府が「首相は一定の監督権を行使できる」との見解を2018年に策定したことについて、首相官邸の関与を否定。「推薦と任命の関係の法的整理を行った。(官邸の)支持に基づき(検討を)始めたものではない」と答弁。見解を公表しなかったのは、「事務局で業務を進めるだけの勉強だった。とくに公表するものとは理解していなかった」(10/7 時事通信記事)
[8月31日(月)]
・日本学術会議が政府に新会員105人を推薦
【9月】
・2018年11月に続き、内閣法制局と内閣府が、日本学術会議法第7条について、協議。日程は不明。10月2日の野党合同ヒアリングで認める。
[9月24日(木)]
・99名を任命する決裁文書が起案された(内閣府の説明)。
・この時点で105名のままだったのか、99名だったのか、10月2日の野党合同ヒアリングでの質問に対し、内閣府は「確認中」とのみ回答。
・菅首相は自分が見たリストは99名で、105名のは見ていない、と述べる。見たのは、28日の決裁直前(10月9日発言)
[9月28日(月)]
・決裁がなされる。
[9月29日(火)]
・松宮孝明氏に同会議の事務局から「名簿から名前が落ちている」との電話がある。 「政府に問い合わせたが理由は言えない」との説明を受ける。
[10月1日(木)]
・新会員6名が任命されなかったことが判明、第25期日本学術会議連携会員名簿
- 芦名定道氏(京都大学教授/宗教学)
- 宇野重規氏(東京大学教授/政治思想史)
- 岡田正則氏(早稲田大学教授/行政法学)
- 小沢隆一氏(東京慈恵会医科大学教授/憲法学)
- 加藤陽子氏(東京大学教授・日本近代史)
- 松宮孝明氏(立命館大学教授/刑事法学)
<日本学術会議の動き>
・同会議が政府(首相宛)に文書で問い合わせたところ、「事務ミスではない。任命しない理由は答えられない」との説明があった。総会の挨拶で山極寿一前会長が公表。
・新会長の梶田隆章東京大学宇宙線研究所長が、任命しなかった理由を菅義偉首相に説明を求めるとコメント。
・同会議前会長の山極寿一京都大学前総長は、「人事は科学者が業績を精査して推薦するべきで、存立に大きな影響を与える」とコメント。
・小沢隆一氏。岡田正則氏、松宮孝明氏は、梶田会長に会議の総力をあげてて、任命拒否の撤回を求める要請書を手渡した。
<政府の動き>
・加藤勝信官房長官は「直ちに学問の自由の侵害ということにはつながらないと考えている」人選の理由について「これまでもコメントしていない」と回答
<野党の動き>
・立憲民主党の安住淳国会対策委員長は、「思想的なことなどを理由に外したのであれば看過できない」と批判した。
【10月2日(金)】
<日本学術会議の動き>
・除外された加藤陽子氏が「学問の自由の観点のみならず、学術会議の担うべき任務を首相官邸が軽んじた点も問題視」とコメント
・同会議は任命問題で総会を開き、理由の開示と6人の任命を求める要望書提出を決める
<政府の動き>
・加藤官房長官は、批判が出ていることに対して「記者会見の場で説明している」と反論。「会議側から推薦をいただいた名簿から、政府内のプロセスを経て任命した」と述べたが、具体的なプロセスについては触れず。学界の萎縮への懸念に関する質問には否定。菅首相による記者会見での説明の必要性についても否定。
・1983年 「総理大臣による任命行為は形式的」に関する質問に対しては、今回は「専門的領域での業績のみでにとらわれない広い視野に立って総合的、俯瞰的観点からの活動を進めていく必要があるということから、改めてもう1回、推薦の仕方を変えた」と回答
・野党合同ヒアリングにおいて、内閣府の幹部が2年前の2018年、内閣法制局と首相の任命権に関する過去の政府答弁について協議したことを認める
・内閣法制局幹部が朝日新聞の取材に対し、2018年11月に、同会議から推薦された人を必ずしも任命する義務はない、と確認する文書を内閣府が示し、了承したと認めた。
・野党合同ヒアリングで、内閣府は、99名を任命する決裁文書が起案されたのが24日。この時点で105名のままだったのか、99名だったのか、という質問に対し、「確認中」とのみ回答。
<野党の動き>
・内閣府、内閣法制局の担当者に対し、野党(立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党)合同ヒアリングが国会内で行われる。
<社会の動き>
・日本科学者会議が政府への抗議声明を事務局長談話として発表。
【10月3日(土)】
<日本学術会議の動き>
・任命に関する要望書を提出。ホームページでも公開
<社会の動き>
【10月4日(日)】
<野党の動き>
・立憲民主党・枝野代表が「明確な違法行為」とコメントする
<社会の動き>
・Change.orgで任命拒否の撤回を求めるネット署名運動が始まる
【10月5日(月)】
<政府の動き>
・午前の記者会見で加藤官房長間は「憲法との関係も含めて整理をした。構造的な仕組みそのものを変更したわけではない」「総合的、俯瞰的観点に立って判断した。引き続きそうした説明をしっかり行っていきたい」と違法性には当たらないと主張
・自民党の船田元(元経済企画庁長官)が10月3日発行のメールマガジンで、「明らかに解釈変更」と記載
・菅首相が「前例を踏襲してよいのか考えてきた」「任命される会員は公務員の立場になる」「任命する責任は首相にある」「学問の自由とはまったく関係がない」と内閣記者会のインタビューに答える。年間約10億円の予算を使って活動していることにも触れる。インタビューに出席したのは読売新聞、日経新聞、北海道新聞。
<野党の動き>
・立憲民主、共産、国民民主、社民が、7、8日に開催される閉会中審査に加藤官房長官らの出席を求めるが、官房長官は拒否
<社会の動き>
・法政大の田中優子総長が「学問の自由に違反」とのメッセージを大学のホームページで発表
・日本社会学会が任命拒否理由の開示と6名の会員の任命を求める声明を発表
・社会政策学会が会員の任命を求める声明を発表
・日本映像学会が任命拒否に関する抗議声明を発表
・国立大学協会の会長、副会長らが任命拒否の理由の説明要求を記者懇親会で述べる
・是枝裕和、青山真治などの監督、脚本家ら映画人有志が抗議声明を発表
・フジテレビ系「バイキングMORE」でフジテレビ報道局解説委員室上席解説委員が「日本学術会議の会員になると日本学士院の会員になり、250万円の年金が出る」と解説[←7日毎日新聞が誤りと報道]
[10月6日(火)]
<政府の動き>
・内閣府が野党合同ヒアリングで・政府が任命拒否できる内部文書を2018年に作成と回答。法解釈に関する内部文書を公開
・加藤官房長官が任命拒否は「総合的・俯瞰的観点」「人事に関わるため、コメントは控える」と繰り返す
<社会の動き>
・首相官邸前で市民や大学教授ら700人(主催者発表)が抗議デモ
【10月7日(水)】
<政府の動き>
・下村博文政調会長が学術会議の課題やあり方を議論するPT(プロジェクトチーム)を設置する方針を示す(7日の記者会見)
・下村整調会長が2007年を最後に正式な「答申」をしていないと批難 (10/9に元会長が政府が諮問しないため答申がないと反論)
・内閣府の福井仁史・日本学術会議事務局長が、2018年の「首相は一定の監督権を行使できる」との見解を策定したことについて、首相官邸の関与を否定
<社会の動き>
・毎日新聞が5日フジテレビの番組のコメントをファクトチェック。誤報と報道
【10月8日(木)】
<政府の動き>
・三ツ林裕巳内閣府副大臣は、参院内閣委員会で「自らの専門分野の枠にとらわれず、俯瞰的な視点を持つ人材が望ましい」と回答
・参院内閣委員会で、内閣法制局が7日、「全員と任命する」と記された内部資料があると明かすが、8日に「全員」は「会員」の読み間違いだったと訂正
<社会の動き>
・川勝静岡知事が「菅首相の教養レベルが露呈」と学術会議問題で批判
・日本ペンクラブが「全員を任命すべき」との声明を発表
【10月9日(金)】
<政府の動き>
・菅首相が「会長がお会いになりたいというのであれば、会わせて頂く」と述べる
・菅首相が28日にリストを見た時点で99名に減っており、「105名の推薦名簿は見ていない」と発言。今回の任命の変更は考えていないとも述べる
・菅首相は、1983年の国会答弁で、首相による任命席には形式的と説明したことに対する整合性について「(法律の)解釈の変更は行っていない」と回答
<日本学術会議・野党の動き>
・大西元会長が野党合同ヒアリングで2016年の補充人事から官邸が難色を示すと証言。説明を求めたものの、アカされなかったという
<社会の動き>
・ 理工系93学会が「任命拒否を憂慮」の緊急声明を発表
【10月12日(月)】
・加藤官房長官が推薦名簿は参考資料として添付されていた。菅首相が「見ていない」と言ったのは、「参考資料までは詳しく見ていなかった」という意味と記者会見で述べる。
・菅首相は6人排除を事前に把握。杉田和博官房副長官が除外の判断に関与と政府関係者が明かした